物理を知れば世の中がわかる(PHPサイエンスワールド新書)

ISBN978-4569779607  2010年4月発行

 

 
まえがき
忙しい現代社会を生きる社会人や青春を謳歌している若者にとって、意外に「科学」は遠い存在かもしれない。実は、ショッキングな言葉だが、「文明社 会の野蛮人」という表現がある。スペインの哲学者オルテガ(1883-1955)が、1920 年 代の科学技術を謳歌するヨーロッパで提唱した概念である。文明社会の人々にとって、科学技術は生まれたときから存在していたものである。ゆえに、科学技術 をあたかも水や空気のような自然界のあたりまえの存在であるかのように無条件に受け入れてしまう。その結果、科学技術の中身を知ろうとすらしないので、科 学について無知な野蛮人に陥るというのである。

 

本書は、その現代社会に生きる大人や若者たちが抱きそうな四つの疑問、

 

・日本サッカー・ラグビーは世界に通用するか?
・飛行機はなぜ飛べるのか?
・エコロジーな社会―地球温暖化とは何だ?
・得体の知れない原子力って?

 

に 物理学的見地から答える試みである。それぞれの テーマは独立しているので、読者の自由な興味のままにどこからでもご自由に読み始めていただきたい。一見、科学とは全く関係のないように見えるテーマもあ るが、読み進めていただくと物理的な思考や知識が展開されていることがご理解いただけると思う。本書がオルテガの提唱から 80 年を経た 2010 年代を現代人が生きる一助となることを期待している。
それでは、四つの謎解きの旅に出発しよう!

 

第1章 日本サッカー・ラグビーは世界に通用するか?..力学・統計学編
第2章 飛行機はなぜ飛べるのか?...流体力学編
第3章 エコロジーな社会―地球温暖化とは何だ?.量子力学・熱力学編
第4章 得体の知れない原子力って?...原子物理学編

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